
提供:(株)プロトコーポレーション
取材日: 2026年7月27日
①中古車市場の「情報の非対称性」をなくす
②経済的事業と社会的事業の両立
③上場からMBOへ、長期視点で次の成長を目指す

株式会社プロトコーポレーション
代表取締役社長 白木享様
執行役員 管理部門担当 福本淳様
人事部 責任者 桑原耕平様
人事部 係長 瀧瀬紗依子様
他学生メンバー(後述)
| 業種 | 情報・通信業 |
| 本社所在地 |
愛知県名古屋市中区葵一丁目23番14号 プロト葵ビル |
今回の取材記事担当は名古屋市立大学2年 藤井惇生です。よろしくお願いします!
企業理念
挑戦を未来の力に変え 夢と感動 楽しい!で 社会に貢献する
プロトコーポレーションは、クルマ情報メディア「グーネット」などを運営する企業です。また、なんと49年間も変わらない中古車販売プラットフォームの運営というビジネスモデルを続けてきており、”奇跡のビジネスモデル”とも形容できます。現在はモビリティ事業に加え、リユース、人材、不動産といった「経済的事業」と、農業・養殖、スポーツ、地域創生、教育といった「社会的事業」を展開しています。

提供:(株)プロトコーポレーション
中古車を販売する側は、車の状態や過去の修理歴などを詳しく知っています。一方、購入する側は、外観や販売店から示された情報だけで判断しなければなりません。ここには、売る側と買う側が持っている情報量に大きな差があります。
この情報量の差のことを、「情報の非対称性」といいます。
御社の中古車事業で大切にしてきたことは何でしょうか?
中古車市場に存在する「情報の非対称性」を解消することです!
これまで走行距離や修復歴、事故歴、車両状態などの情報を明確にする取り組みを進めてきました!
その代表的な仕組みが、第三者機関が車両の状態を確認する「グー鑑定」です!
中古車を紹介するだけでなく、売る側と買う側の間に「信頼」をつくっているんだね!
「グー鑑定」は、第三者機関であるNPO法人「日本自動車鑑定協会」のプロの鑑定師が中古車の状態を確認する仕組みです。
車体、内装、機関、修復歴を確認し、購入者だけでは判断しにくい車両の状態を分かりやすく示します。
インターネット上に情報を掲載するだけでなく、実際の車を人が確認する点が特徴です。

提供:(株)プロトコーポレーション
プロトコーポレーションは国内自動車市場の成長とともに事業を拡大してきました。一方、現在の国内市場は、人口減少や少子化などを背景に成熟期を迎えています。
中古車は、新車が販売され、一定期間使用された後に市場へ出てくるのが基本なので、新車の販売台数が伸びなければ、中古車の流通量も増えにくいという特徴があります。

提供:(株)プロトコーポレーション
今後、中古車市場は成長しにくくなるのでしょうか?
世界的に見ると中古車市場は依然として成長産業です!
円安だけでなく、日本車の品質や管理状態の良さが評価され、日本から海外への中古車輸出が伸びています!
国内では成熟産業でも、世界まで視野を広げれば、まだ大きな成長余地があるんだね!

提供:(株)プロトコーポレーション
近年、中古車価格の上昇が続いています。その背景には、海外からの日本車需要、円安、新車価格の上昇、新車の供給不足など、複数の要因があります。また、車の買い方にも変化が起きています。近年増えているのが、リースという、数年後の売却価格である「残価」をあらかじめ想定して、月々の支払額を設定する購入方法です。
残価を意識した買い方が増えると、中古車市場にはどのような影響がありますか?
購入した車が、数年後にいくらで売れるのかを想定し、その将来価値を差し引いて支払額を決める方法があります。この仕組みでは、車の将来的な中古車価値が非常に重要になります!
新車を買う段階から、将来中古車としていくらで売れるかを考える時代になっているんだね!
プロトコーポレーションでは、事業を「経済的事業」と「社会的事業」の二つに分けています。経済的事業には、プラットフォーム事業を基盤とした、モビリティ、リユース、人材、不動産があります。一方、社会的事業には、農業・養殖、スポーツ、地域創生、教育があります。

提供:(株)プロトコーポレーション
なぜ自動車情報だけでなく、幅広い事業を展開しているのでしょうか?
我々は、売上規模が一定以上になれば、日本の将来や次の世代のために、企業として社会に貢献する必要があると考えています!利益と社会貢献を両立するために短期的に経済的な価値を生み出す事業と、長期的に社会的な価値を生み出す事業を組み合わせることが重要なんです!
利益を出す事業と、社会に必要なものを残す事業を、両方進めているんだね!

提供:(株)プロトコーポレーション
プロトコーポレーションは、地域の農産物、水産物、文化、技術などのブランドをつくったり継承したりしており、安価な外国産品が普及したとしても、それらに負けない仕組みづくりを行っています。
養殖などの社会的事業では、何を目指しているのでしょうか?
日本の優れた生産物や生産技術を次の世代へ残していくことです!そのためにも多くの人に地域の生産品の価値を知ってもらい、持続できるような仕組みをつくっています!
単に商品を販売するのではなく、地域の産業そのものを次の世代に残そうとしているんだね!
プロトコーポレーションは2002年に株式を上場しました。上場によって、コンプライアンス、経営管理、情報開示などの体制が整備されました。しかし同社は2025年にMBOを実施し、非上場化を選択しました。

提供:(株)プロトコーポレーション
東証プライムに上場したことでどのような影響がありましたか?
上場したことで、コンプライアンスや経営管理体制が整備され、情報開示も徹底されるようになりました!
一方で、短期的に評価される株価に左右され、長期的な視点で顧客に利益のある投資が行いづらいという問題も生じてきました!また数兆円規模の大企業と同等水準の管理体制や対応を求めらることもあり、企業規模に対して負担が大きいと感じる場面が出てきました!
上場と聞くとメリットがとても大きい様に思えるけど、それに伴う負担もあるんだね!
MBOとは、経営陣が参加する買収のことです。
プロトコーポレーションは、経営陣、現会長の横山氏が主体となって株式を取得し、非上場化するMBOを選択しました。
MBOを決断した最大の理由は何でしょうか?
実際の会社の価値が市場から評価されておらず、当時の株価が当社の本当の価値を反映していないのだ、という覚悟を持ってMBOを実施しました!自社を誇りに思い、守ろうとする横山会長の姿勢が、PEファンドを用いることなく自らの資産でMBOを行ったところに表れていると感じました!
再上場に関してどうお考えですか?
再上場するにあたって、会社が新しく株を発行して、集めたお金を事業の成長に使うための上場なら、意味があります!でも、もともと株を持っていた人たちが株を売って儲けることが一番の目的なら、その上場が会社や社会のためになっているのか、きちんと考えないといけません!
MBOは自社の価値と将来に責任を持つための選択だったんだね!また上場すること自体ではなく、集めた資金をどう成長や社会に還元するかが重要なんだ!
PEファンドは、投資家から集めたお金で企業を買収する投資会社です。買った企業の経営改善や事業成長を支援し、企業価値を高めます。数年後にイグジット(その企業を売却すること)して利益を得ます。株を買うだけでなく、経営に深く関わる点が特徴です。
資金提供を受けられたり、外部人材を受け入れられたりするというメリットはありますが、経営が制限されたり、最終的にイグジットして経営権を売ったりしなければならないというデメリットもあります。
プロトコーポレーションでは、Claudeなどの生成AIを積極的に業務へ導入しています。社内向けの情報発信、調査、提案書や文章の作成、サービス企画、システム開発、業務改善など、活用範囲は急速に広がっています。生成AIを活用し、サービスをほぼ一から開発した事例もあります。
生成AIの活用に関してどうお考えなのでしょうか?
2023年にAnthropicが発表した生成AIの性能を見て、それまでのAIとは大きく違っており、今後生成AIを使わなければ、企業として完全に取り残されるという危機感を持ち、積極的な利用を推進してきました!
しかし、実際の中古車を人が確認し、故障や修復歴を診断する仕事は、現物を確認しなければできません。これからはそういったリアルな事業に価値が出てくると思います!
生成AIを積極的に使いながら、AIでは代替できない現場の価値も伸ばしていくんだね!
白木社長が若い頃に戻るとしたら、どのようなことを大切にしますか?
どれほど小さなことでもよいので、まず夢や目標を持つことが重要です!
大切なのは、その夢自体や、自分が一生懸命に取り組む姿によって、誰かを感動させられるかどうかです!
生み出したサービスで誰かを感動させることを基準に、何をするのかを決めるべきだと思います!
大きな夢を語ることよりも、目の前の誰かを感動させられる行動を続けることが大切なんだね!
国内中古車市場で築いた情報、顧客基盤、車両鑑定の仕組みを活用しながら、海外市場やリユース事業への展開を進め、さらに社会的事業を通じて日本の優れた産業や技術を次の世代へ残していきます!
約50年にわたって中古車市場の信頼をつくってきたプロトコーポレーション!
MBOによって長期的な経営へ踏み出し、経済的価値と社会的価値の両方を追求する今後の挑戦が非常に楽しみです!

株式会社プロトコーポレーション
代表取締役社長
白木享様からのメッセージ

以上、株式会社プロトコーポレーションの取材報告でした!
レポーター:名古屋大学 4年 稲葉琉斗
MBOの経緯や想い、プロトコーポレーションさん目線での上場の良いところ未上場の良いところをお聞きして、プロトコーポレーションさんの目指す姿の中で世の中への貢献を重視した1番良い選択をしている会社だと分かりました。とても考え方の模範のような会社だと感じました!
レポーター:名古屋市立大学 2年 藤井惇生
中古車販売プラットフォームを運営するにあたって、買い手と売り手の商品への評価の違い、情報の非対称性をいかになくすか、に対して約50年も取り組み続けてきた企業としての強さが伝わってきました!
また、アンソロピックが従来よりも遥かに高い性能の生成AIを2023年に公開した時、社長が真っ先に将来性に気づき、社内でのAI利用を推進したことは先見の明があって凄いと感じました!
レポーター:南山大学 1年 後藤透弥
会社が大きくなっていく中で、目先の利益のためではなく地域やお客様のために、MBOという決断を行う心意気にとても感激しました!
未上場だからこそできる大胆な挑戦、未来を見据えた長期的な投資こそがプロトコーポレーションの唯一無二の武器であると感じました!
取材協力:株式会社プロトコーポレーション
取材レポーター:稲葉琉斗 (名古屋大学 4年)
:藤井惇生 (名古屋市立大学 2年)
:後藤透弥 (南山大学 1年)
取材記事担当 :藤井惇生 (名古屋市立大学 2年)
取材SNS担当 :稲葉琉斗 (名古屋大学 3年)
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企画・構成・撮影:未来金融研究部
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