取材日:2026年9月3日
① 製造業の「困った」をITで解決する。エクスってどんな会社?
② 「SPEEED」と「Enjoy」がつくった、エクスの歩み
③ 日本のものづくりは、これからどうなる?

株式会社エクス
代表取締役社長 抱 厚志 様
他学生メンバー(後述)
今回の取材記事担当は同志社大学の澤木太一です。よろしくお願いします!
株式会社エクスは、1994年に大阪・阿倍野でわずか4人から創業し、現在33期目を迎えるIT企業です。「製造業のリバイバル」を目的に掲げ、中堅・中小の製造業向けに生産管理システムを開発・提供しています。
大阪本社に加えて東京・名古屋・福岡・沖縄・東大阪に拠点を構え、正社員は約125名(契約社員を含めると約130名、いずれも取材時点)。取引先は約3,000社で、そのすべてが製造業とその関連業種です。

提供:(株)エクス

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エクスが掲げるのは「製造業のリバイバル」。日本は本来ものづくりの国ですが、バブル崩壊後は製造業に優秀な人材が流れなくなりました。製造業が遅れることは、日本全体の発展が遅れることだと抱社長は指摘します。
だからこそエクスは、生産管理システムというかたちで中堅・中小の製造現場を支え、東大阪をはじめとする日本のものづくりの再興に取り組んでいます。
そもそも生産管理ってなに?
生産管理とは、「何を・いつ・どれだけ・どのように作るか」を計画し、品質・コスト・納期などを管理する活動です。
日本産業規格 JIS Z 8141:2022「生産管理用語」 では、生産管理に関する用語を国家規格として定めています。
簡単に言えば、製品を必要な品質・量・タイミングで効率よくつくるために、工場全体を管理する仕組みです。
出典:日本産業規格 JIS Z 8141:2022「生産管理用語」(日本規格協会)
URL:日本規格協会 JSA GROUP Webdesk
事業内容
エクスの主な事業一覧
生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場シリーズ」
中堅・中小の製造業向けに開発・販売している生産管理パッケージです。エクスの事業の中心となる製品です。
製造業向けクラウドサービス・プラットフォーム
製造業のDXを支えるクラウドサービスやプラットフォームを提供しています。
DX関連サービス・システム導入コンサルティング
導入コンサルティングから、ユーザ向けカスタマイズ開発・稼働支援・保守までを一貫して支援します。
「東大阪経済新聞」の運営
広域東大阪圏のビジネス&カルチャーニュースを発信し、製造業の集積地である東大阪を盛り上げています。
エクスさんはどのような事業を展開されているのでしょうか?
中堅・中小の製造業向けの生産管理システムが中心です。お客様は約3,000社で、すべてが製造業とその関連業種です。
製造業に特化されているんですね。
日本は本来、ものづくりの国です。ところがバブル崩壊後、製造業に優秀な人材が流れなくなりました。それが日本全体の元気を失わせていると感じています。

提供:(株)エクス
エクスが考える「弱いDX」と「強いDX」とは?
「弱いDX」は、これまでのDXです。マイナスをゼロにする発想で、IT化・省力化・合理化が目的でした。
「強いDX」は、これからのDXです。ビジネスモデルや収益の構造そのものを変え、ゼロをプラスにする発想です。
ただ、製造業は変化を嫌う業種で、新しいものが入ると現場が混乱しやすい面もあります。
DXには「弱いDX」と「強いDX」があるのですね。ただ効率化するだけでは「強いDX」にはならない、と。
そうです。効率化だけでは、マイナスをゼロに戻すだけ。ビジネスモデルや収益の構造まで変えてこそ「強いDX」です。
でも、現場が混乱するかもしれないと思うと、なかなか踏み出せませんよね。
だからこそ、我々が一緒に「変わった先の姿」を描くのです。
エクスの強みとは
エクスさんには「EX-way」という経営理念があり、その中に「SPEEED」という行動指針がありますね。社員の皆さんの仕事で、どう活かされているのでしょうか。
EX-wayはカードにして、社員全員が持ち歩いています。仕事では「A案かB案か」と意見が分かれることがありますよね。現場でも、取締役会でもそうです。
どちらにも理由があると迷いますね。
そんなときの“ものさし”がEX-wayです。対立案は、「どちらがEX-wayに近いか」「どちらが経営理念に近いか」で決めるのです。

提供:(株)エクス

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掲げるだけの言葉ではなく、実際の判断に使われているんですね!
はい。たとえば「学びがあるか」「昨日より進化しているか」「楽しいか」「共感する人はいるか」「その先に夢があるか」。こうした問いに照らせば、個人の感覚ではなく、会社共通の価値観で判断できます。
EX-wayはずっと同じ内容なのですか?
20年ほど使っていますが、何度か見直しています。3、4年前に人事制度を改定したときは、「Empathy(共感)」を新たに加えました。
会社の変化に合わせて、EX-wayも変わってきたんですね。
今は「Study(自己研鑽)」「Practice(実践)」「Evolution(進化)」「Enjoy(楽しむ)」「Empathy(共感)」「Dream(夢)」の6つで、頭文字をとって「SPEEED」です。これがすべての判断の原点で、「日本の製造業のリバイバル」というMVVにもつながっています。
理念が日々の判断にまで落とし込まれているんですね。
この1年は特に、この指針を本当の意味で自分たちのものにして、経営に活かすことを意識しています。
SPEEEDの中でも、私は「Enjoy」が入っていることが印象的でした。
私も「Enjoy」が入っているのは、すごくいいと思っています。仕事は絶対に楽しくやるものです。
楽しむことが大前提なんですね。
それは就職活動も同じです。せっかくやるなら、就活も楽しみながらやった方がいいですよね。
仕事だけではなく、就職活動にも通じる考え方なのですね。会社としてEX-wayのような共通の指針を大切にされているのは、なぜでしょうか。
集団である限り、「何のために集まっているのか」という共通の理由が必要だからです。
共通の理由、ですか。
理念やビジョン、価値観が決まっていないと、組織は右へ左へと揺れてしまいます。みんなが同じ方向を向いて進むために、共通の価値観を持つことが大切なんです。
ものづくり大国・日本の底力とは
抱社長は、日本の製造業に強い思いをお持ちですね。その原点は何でしょうか。
好きな言葉があります。ビスマルクの「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」です。今の日本は、個々の経験ではなく、歴史から学び直すべきだと考えています。
歴史から見ると、日本はどんな国なのでしょうか。
開国と明治維新を経て、日本は世界へ羽ばたきました。原動力はサービスでも資源でも、物流でも金融でもありません。日本は「製造立国」として大きくなってきた国なんです。
ただ、製造業が厳しく見られた時代もありましたよね。
はい。バブル崩壊後、製造業は「5K」と呼ばれ、給料も安いと敬遠されて、優秀な人材が流れなくなりました。
それでも、日本の強みは変わらないと。
今でも日本は、主要先進国の中でドイツと並んで製造業の比率が高い国です。「ものづくりの国」であることは、歴史的に見ても外せない事実だと思います。
その底力は、具体的にどこにあるのでしょうか。
半導体を例にお話しします。日本はかつて「日の丸半導体」と呼ばれ、世界シェアを握っていました。今では台湾などに取って代わられています。
状況はかなり変わってしまったんですね。
しかし、半導体をつくる装置や検査する装置では、今も日本が世界トップクラスです。日本の装置がなければ、世界の半導体はつくれないのが現実です。
つまり、日本の底力は「モノ」そのものではない、と。
そのとおりです。モノをつくるプロセスを支える技術力。そこにこそ、日本の圧倒的な底力があります。

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今後の展望を教えてください!
目指しているのは「真のDX」です。今のDXは、管理する側から見て価値があるもの。現場からは価値が見えにくいんです。
「真のDX」は、そこが違うんですね。
はい。現場の方自身が価値を見つけられることに焦点を当てています。現場が価値を判断できれば、自分たちから積極的にDXを取り入れられるはずです。
現場の方が自分で価値を判断できるようにする、ということですね!
ただ、製造業には「入れたものを使いこなす文化」がまだ十分ではありません。長い目で見ればDXの方が得なのに、手入力やExcelの方が早く、結局浸透しなかった例も多いんです。
目の前の手間が壁になるんですね。
変えることにはリスクも伴います。だからこそ、先ほどお話しした「変わった先の姿」を我々が示し、リスクを背負ってでも変わりたいと思っていただくことが大切なんです。
デジタル化が進む時代ですが、逆に残るものもあるのでしょうか?
生成AIでデジタル化が進むほど、アナログが残る場面も出てきます。私はそれを「純度の高いアナログ」と呼んでいます。ものごとの二面性を知ることが大切ですね。
最後に、今後への意気込みをお願いします。
これからも製造業のリバイバルに向けて、挑戦を続けていきます。
ありがとうございました!

抱社長よりメッセージ

抱社長より金言を頂きました!
以上、株式会社エクスの取材報告でした!
レポーター:大阪国際大学 4年 藤山友汰
今回の株式会社エクスへの取材で、特に印象に残ったのは「医者と生産管理には手を出すな」という言葉です。それほど生産管理は企業ごとに業務や課題が異なり、複雑な分野なのだと感じました。また、単にシステムを導入するだけではなく、自社の業務や課題を整理したうえで進めることが重要だと学びました。
レポーター:同志社大学 2年 澤木太一
今回の取材で最も印象に残ったのは、社長が語られた「純度の高いアナログ」という考え方です。
AIやDXが叫ばれる中で、デジタルはどの会社でも実装できるため、企業の差はその会社にしか残らないアナログの部分で生まれる、というお話には強い説得力がありました。
社長はそれを人間力やコンサルティング能力などと捉え、AIにできないことをあえて磨き続けると語っておられ、時代の流れに迎合しない覚悟を感じました。
現場を知り尽くした営業やSEが顧客から評価されているというお話も、まさにその実例だと思います。
私自身も就職活動を前に、AIに代替されない「自分ならではの強み」を磨くことの大切さを、改めて考えさせられました。
レポーター:甲南大学 1年 岩井里紗
私が特に興味深かったことは、「弱いDX」と「強いDX」の違いや、生産管理システムは企業や業種によって必要な仕組みが異なるため、業務に合わせて作り込む必要があるというお話です。特に、単に今の業務を便利にするのではなく、業務プロセスそのものを見直して、企業の成長につなげていくという考え方から、課題の本質を考えることの大切さを学びました。今回の取材を通して、企業がどのように課題を見つけ、解決につなげているのかを知ることができ、学生にとっても企業や仕事について考えるきっかけになる内容だと感じました。
レポーター:甲南大学 1年 伴舞花
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というビスマルクの言葉が、私の中で深く印象に残りました。抱社長のお話を伺い、企業や産業の現在だけでなく、これまでの歴史に目を向けることで、現在の強みや今後の可能性がより深く見えてくるのだと感じました。今後のご活躍を心より応援しております。
取材協力:株式会社エクス
取材レポーター:藤山友汰(大阪国際大学 4年)
澤木太一(同志社大学 2年)
岩井里紗(甲南大学 1年)
伴舞花(甲南大学 1年)
取材記事担当 :澤木太一(同志社大学 2年)
取材SNS担当 :澤木太一(同志社大学 2年)
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